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旅: 「東海道・山陽道」 第三節

小田原 → 箱根 → 三島

後北条を懐うて作有り

 兵を用いては知略にたけ、治世を敷いては民の心情を慰撫し、一統の家訓は厳然として守らせ、後北条氏は代々に栄えた。
 しかし、毎日の食事の時の分量を見る事にもいい加減であってはならない。
君主として臣下に望み、国を統治することは平生の些細な気配りが大切なのである。

陽三月麗朝芦ノ湖湖畔を過ぎる

 晴れ上がった空に見る富士は俗世間を隔てたように気高い。芦ノ湖は波だつ光が我々の顔を照らす。
 冠雪は白い薄絹、麓の方は青い薄絹のようでまことに美しさが極まりない。この富士山を眺め、盛んな気力を溢れさせながら箱根の関を過ぎてゆくのである。
 

箱根路の山中新田を下りて作有り

 霊峰富士は真っ白の雪を抱いて、眺める人の眼を洗い、伊豆の海は青々として眺る人の愁いを払ってしまう。
 杖を留めて眺めるまさに天下の景だ。
我々はここで大いに吟じて勇躍三島に向かった。
 

三島に到り吟友と大社に会同す

 正殿の前で清らかに吟じたがその声は静かさを破り、我々の意気が箱根の山をおおうようだった。
 この旅で忘れがたいのは吟友が神社の入り口で待ちかまえ手を振り、我々を歓呼して迎えてくれた笑顔の数々であった。

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