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旅: 「東海道・山陽道」 第四節

三島→吉原→清水→静岡

十二柿田川の湧水

 柿田川の水は清く、緑濃やかに鳥の声は優しく聞こえる。暫く佇んでいると自然に愁いを忘れた。
聞く処によると、この豊かな水は富士山の千年前の雪がとけて、地の中をくぐってこの三島に湧いているという。

十三 駿河湾千本松原に牧水を懐う

 千本松原の緑は美しく長い渚に映え、百里にわたる潮騒は風の中に聞く。
 (牧水の歌のように)白鳥はただよい飛んで、白い羽を染むることなく、旅人はただ静かに海と空の青を眺めやっている。

十四 千本松原首塚にて感有り

 その昔、三大勢力が戦を交え、その結果犠牲となった多くの少年兵の屍を老樹が抱くことになった。
 この首塚の由来を聞けば、正に曹松の「己亥の歳」の一句を思わせるものだ。歴史書の行間にはこのように、おおよそこんな事は見捨てられているに違いない。
 その昔、三大勢力が戦を交え、その結果犠牲となった多くの少年兵の屍を老樹が抱くことになった。
 この首塚の由来を聞けば、正に曹松の「己亥の歳」の一句を思わせるものだ。歴史書の行間にはこのように、おおよそこんな事は見捨てられているに違いない。
 

十五 松蔭寺に吟ず

  初夏のそよ風が松林を吹き抜け、誰もいない垣根にそよいでいる。清らかな光はさっぱりとして庭いっぱいに降りそそいでいる。
 興に乗じて尺八を奏で、また吟じ、その静寂を侵したと思ったら、思いがけなくもお茶室に居た尼さんを誘い出すことになった。

十六 東海道中清水にて燕飲す

 清水港は早くも日暮れを過ぎた。我々は羽衣の天女は何処(いずこ)ぞと、酒盛りを楽しんでいる。
 良い気分になってきた。もう、明日の静岡までの旅は聞かないでくれ。今夜は楽しむにまかせて杯を傾けようではないか。
 

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